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こだわりシリーズ ~みんなのスケジュール管理<前半>~

こんにちは。ヒロです。いきなりですが、「建築士」と聞くと、どんな仕事を思い浮かべますか。多くの人が「建物をデザインしている」とイメージされるのではないでしょうか。実は建築士の仕事にも種類がありまして、私は中でも「構造設計」という仕事をしています。地震や台風などの災害が起きても、建物が壊れず、安心して使えるように、必要な強度を計算し設計するのが、「構造設計」です。建物を建てるうえで、とても重要な仕事なんですよ。 これから始まる連載では、私たち「構造設計者」の日常を紹介します。第一回目のシリーズは「みんなのスケジュール管理」です。 「やることがいっぱいで、どれから手をつけたらいいかわからない!」「約束の日が迫っているのに、まだ完成していない!」そういった状況に陥ったことはありませんか。職業に関わらずスケジュールを意識し、管理している人は多いのではないでしょうか。私たちの会社では、ありがたいことに、お客様から毎月多くの物件をご依頼頂いておりまして、1人で複数の物件を担当しています。お客様との約束(納期)を守り、品質は落とさないようにするには、「スケジュール管理能力(マルチタスク)」のスキルは欠かせません。 私たちの会社の所員がどのようにスケジュール管理を行っているのか調べてみました。(※すべて当社調べ アンケート回答者15名)① 使用しているスケジュール管理ツール

シドニー オペラハウス⑤~構造設計の功績~

こんにちは、ケンです。 前回は、連続的に曲率が変化する曲面の施工が、実現不可能であること。それに対して、オペラハウスの複雑な屋根曲面をひとつの球形の一部と見立てて、 全ての曲面をひとつの球の曲面から切り出すという、ウッツォンのアイデアをご紹介しました。 ウッツォンはコンペを勝ち獲ったものの、これほどの巨大なプロジェクトを担当した経験もなく、事務所の体制も整っていませんでした。オペラハウスの施工は、設計が終わる前からスタートし、現場は刻一刻と進むなか、それでも実現にこぎつけられたのは、構造設計者アラップのマネージメント能力によるところが大きかったといわれています。 シドニーオペラハウスは、当初4年で完成するはずだったものが、14年かかりました。建設も半ばの1966年には、工事の遅れの責任を取るかたちで、ウッツォンが設計者を解任されるという衝撃的な事件もありました。しかし、ウッツォンが解任されてもアラップ社は引き続きプロジェクトに残りました。当時の関係者が、アラップ社抜きでは、工事を完成させることが出来ないと考えていた証左ではないでしょうか。 構造設計事務所アラップ社がオペラハウスの構造設計に費やした時間は、37万5000時間に及んだそうです。しかも、携わったのは、当時、超一流のエンジニアばかりです。シドニーオペラハウスは、2007年、 世界遺産に登録されるわけですが、その選考基準において、「建築形態」、「水景上の優れた立体芸術」、「世界的に著名な偶像的建築」等の言葉と並んで、「構造設計」が挙げられており、アラップ社の貢献について言及されています。

シドニー オペラハウス④ ~ひとつの球から曲面を切り出す~

こんにちは、ケンです。 前回は、卵の殻のような滑らかなシェルが実現不可能だとわかり、振り出しに戻った屋根の設計が、シェルをリブで補強する案が採用されることにより、応力的にはどうにか設計出来そうな見通しが立つところまでを、お話しました。 しかし、シェルのような曲面を用いた建築物では、いかに設計するのかということと同時に、いかにつくるのかという施工上の諸問題が、重要な論点となります。 シェル構造の建設コストは、一般に構造体そのものよりも、型枠・支保工により多くの費用がかかります。小規模なものであれば、任意の形状を手間暇をかけて、つくることはできます。しかし、シドニーオペラハウスのような単一のビッグプロジェクトでは、繰り返しのない複雑な曲面では、型枠の作成に膨大な時間とコストがかかりすぎ、現実的には建設不可能になってしまいます。 そこで、ウッツォンは、屋根の複雑な曲面をひとつの球形の一部と見立てるアイデアを思い付きます。全ての曲面をひとつの球の曲面から切り出す。球であれば、どこでも曲率は一定ですから、型枠はいくらでも再利用できますし、工場で効率的にプレキャストすることも可能になります。方針が決定され、ようやくプロジェクトは実現に向けて動き出すことになります。(次回につづく)