「昭和56年以前の建物は要注意!!①②」をまとめると、
1981年(昭和56年)以降は
一次設計:「数十年(50年)に1回以上」遭遇すると思われる【中地震】
二次設計:「数百年(500年)に1回以上」遭遇するかも知れない【大地震】
地震に対して、
一次設計では建物の損傷を防ぐことを目的とし、
二次設計では倒壊を防ぎ人命を守ることを目的として耐震設計を行うことになりました。
「500年に1回以上」遭遇するかも知れないと言われると、そんなに長生きしないから遭遇することはないように感じるかも知れません。
これは再現期間で表現されているためです。
表現を変えると、「50年で10%以上の確率」で遭遇するとも言えます。
いかがですか、遭遇する可能性がずっと大きく感じませんか。
実際、ここ50年間では新潟地震(1964年)、十勝沖地震(1968年)、宮城沖地震(1978年)、兵庫県南部沖地震(1995年)、東北地方太平洋沖地震(2011年)、熊本県熊本地方地震(2016年)と大きな地震を6回も経験しているのです。
その中で、地震による死亡要因の多くは、建物の倒壊等による直接死と言われています。
国や自治体が耐震診断や耐震改修を推奨している理由は、ココにあるのです。
人命を第一優先に考えた施策なのです。
しかし一方、建物の建築時期よりもずっと要注意なことがあるのです。
実は、四号建築と呼ばれる木造2階建て住宅などの建物は建築確認申請で構造計算が義務付けられていないのです。
さらに、建築基準法第6条の3 三号にて建築士が設計をすれば一切の構造関係図書を確認申請に添付しなくても良いとされています。(四号特例)
つまり、規模の小さい木造2階建て住宅などの建物は、耐震性を確認した壁量計算書や図面も不要とされ、第三者のチェックが行われないのが現状です。
兵庫県南部沖地震により、四号特例を廃止する動きがありました。
そもそもの壁量計算を行っていないなどの不適切な設計により、明らかな構造強度不足が問題視され、国土交通省は2008年に四号特例の見直しの準備に着手していましたが、いまだ実施には至っていません。
四号特例は、建築確認の審査を簡略化する目的であって、構造安全性のチェックを免除するものではないのです。しかし、多くの建物において『安全性を確認する必要はない』と都合よく解釈(誤解)されているのです。
また、建築基準法の1条では【最低の基準】を定めると明記されており、あくまでも【最低の基準】なのです。
また、熊本地震では、現行の新耐震基準が導入された2000年以降に建てられた比較的新しい住宅でも被害が目立ったことから、再び、四号特例の廃止や見直しが検討されはじめています。
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