2018.04.13 03:42地盤調査と建物規模現在、主に使われている調査というと、スウェーデン式サウンディング試験とボーリング標準貫入試験があります。スウェーデン式サウンディング試験は、表層付近の地盤の半回転数を測定します。地層の種類としては、砂質土、粘性土の2種類に分けられます。ボーリング標準貫入試験は、支持層までの間の1m毎のN値を測定します。※支持層=N値50以上を5m以上確認できる硬い層各深度で土を採取するので、地層の種類が判明します。また、追加で孔内水平載荷試験や液状化の判定などが行えるので、スウェーデン式サウンディング試験よりも地盤の性質がわかります。なお、基礎設計に用いる検討式はそのほとんどがN値を使用します。地盤調査の種類と対象建物の目安は、下記になります。・スウェーデン式サウンデ...
2018.03.09 03:45片持ち材について前回、片持ち床の作り方をご紹介いたしました。今回は、前回の最終行『何故、片持ち床周辺の懐に余裕が必要なのか?』を『片持ち材の検討』を通してご紹介したいと思います。むずかしいお話ですが、お付き合いください。○1点目建築基準法に使用上の支障の検討というものがあり、部材のたわみ量に対して上限が決まっています。片持ち材は部材の根元でしか繋がっていないため、たわみやすい部材です。そして、この『たわみにくさ』を向上させるには、成(スラブ厚・梁成)を大きくする方が効果が高いのです。○2点目片持ち長さが2mを超えた場合に、短期地震時の縦揺れの検討が必要になります。この場合の短期地震時の検討は、下記の式で行えます。『 短期検討用荷重 = 長期荷重 + 鉛直震度1.0の地...
2017.09.29 03:44固有周期と共振現象この世に存在する全ての建物には、固有周期というものが存在します。固有周期とは、建物が片側に揺れて、反対側にも揺れた後に元の位置に戻るまでの時間のことです。固有周期は建物が重いと長くなり、堅くなると短くなるという性質を持っています。一方で、地震の揺れは不規則です。しかし、ある特定の固有周期を持つ建物に対して、突出して大きな被害をもたらす性質があることがわかってきました。一口に地震と言っても、その性質はいろいろです。固有周期の短い建物で被害が大きくなる周期の地震もあれば、固有周期の長い建物に対しても然りです。この地震の持つ周期と、建物の固有周期が一致すると揺れが極めて大きくなってしまいます。ぶらんこをイメージしてみて下さい。ぶらんこの揺れるリズムに合わせて...
2017.08.28 03:40建物の倒壊を防ぐ!!「昭和56年以前の建物は要注意!!①②」をまとめると、1981年(昭和56年)以降は一次設計:「数十年(50年)に1回以上」遭遇すると思われる【中地震】二次設計:「数百年(500年)に1回以上」遭遇するかも知れない【大地震】地震に対して、一次設計では建物の損傷を防ぐことを目的とし、二次設計では倒壊を防ぎ人命を守ることを目的として耐震設計を行うことになりました。「500年に1回以上」遭遇するかも知れないと言われると、そんなに長生きしないから遭遇することはないように感じるかも知れません。これは再現期間で表現されているためです。表現を変えると、「50年で10%以上の確率」で遭遇するとも言えます。いかがですか、遭遇する可能性がずっと大きく感じませんか。実際、こ...
2017.08.25 03:38マグニチュードと震度の違いとは?③前2回では、地震の発生メカニズムをお話しました。今回は、本題「マグニチュードと震度」の違いをご説明します。地震の起こり方でお話ししたように、地震はプレートの境界や、プレート内のいたるところで起こります。マグニチュードは、その地震が起こった場所における地震のエネルギーを表しています。地震の規模そのものです。ですので、1つの地震につき1つのマグニチュードしかありません。対して、震度は地表面における揺れの大きさを示しています。観測値です。観測値ですので場所によって異なります。極端な言い方をすれば、北海道で起きた地震では北海道で震度が7としても沖縄ではほぼゼロです。1つの地震につき、複数の震度があります。観測された中で最大の震度を最大震度と言います。地震の発生...
2017.08.18 03:36マグニチュードと震度の違いとは?②前回は、底のふかーーーーーいお風呂の例えで、マントルの対流をお話しました。今回は、プレートによる地震のお話をします。プレートには2種類あり、大陸プレートと海洋プレートと呼ばれています。前回、プレートは折り重なっていると書きましたが、海洋プレートと大陸プレートの継ぎ目では海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込んでいます。また、それぞれのプレートはキレイな板とは限りません。ひび割れていたり、歪んでいたり、波打っていたり、様々な形状をしています。このように、いびつな形の板が折り重なった下で、マントルがゴソゴソと動いています。すると、海洋プレートはマントルに引きづられて、さらに大陸プレートの下に潜り込もうとします。
2017.08.14 03:38木造の構造計画(梁・床編)木造の構造計画(耐力壁編)に引き続き、木造物件のご相談時に意匠事務所様にプランの調整をお願いすることが多い項目をご紹介します。今回は梁などの架構や、床の水平構面に関することです。○梁材長さ>6m、梁せい>450の梁材は、通常は特注品となります。施工会社・プレカット工場によって入手状況や機械加工が可能かどうかなどが異なります。○梁せい以下のような場合は梁せいが大きくなります。①スパンの長い梁、多くの梁が架かっていて負担荷重が大きい梁②オーバーハング部分の片持ち梁③梁上に耐力壁が載る(耐力壁下に柱が無い)場合
2017.08.11 03:34マグニチュードと震度の違いとは? ①どこかで地震が起こった時、ニュースや新聞などで「マグニチュード」とか「震度」という言葉をよく耳にすると思います。今回の地震は、マグニチュードがあの大地震よりも大きいのに震度が小さいのはなぜ?と思われたことはありませんか?今回はその謎についてお話しします。理解を深めるために、なぜ地震が起こるのか?を確認したいと思います。ご存知の通り、地球は球体です。地球は大まかに言うと、3つの要素で構成されています。中心にあるのが核、核を包むようにマントルがあり、表皮に地殻があります。私たちが普段目にする陸地や海底は地殻ということになります。マントルは基本的には固体と考えられていますが、核に近い方は、核の高熱によりドロドロしていて、地殻に近付くにつれて固まってきます。
2017.08.07 03:37片持ち床とは今回は、バルコニーなどになる片持ち床の、一般的な作り方をお話します。○木造の場合・一方向に持ち出す場合図①の様に下階に柱がある梁を持ち出して床を作ります。・二方向に持ち出す場合図②の様に下階に柱がある赤い梁を2段目(下段)で持ち出すとともに、直交方向の梁も持ち出します。※概ね、持ち出した長さの2倍程度の長さの受梁が、持ち出さない側に必要です。※持ち出し梁を一般的な材種・梁成とする場合は、持ち出し長さ910~1365程度が目安になります。※持出長さが長くなる場合は、梁成UP,材種UPが必要になります。※赤い梁の右側に柱がない場合は、赤い梁と同レベルに梁を入れ赤い梁を支持します。
2017.08.04 03:34建物はどのようにして地震に耐えるのか②前回は、建物が地震に耐える方法は、大きく分けて二つあり、その抵抗の仕方から「強度型」と「靭性型」とお話しました。今回は、具体的にはどのような建物があるのかをお話します。建物は一般的に、柱・梁で構成されています。地震が起こっていない時にも、それぞれ重要な役割を果たしていますが、地震が起こった時にも、地震に耐える為の要素(=耐震要素)として、活躍します。柱・梁に加えて壁も一定の条件を満たせば、耐震要素として極めて重要な役割を果たしてくれます。主要な耐震要素として、壁に頼っている建物を「強度型」といい、串団子で言うと太い串を持った串団子です。意外と思われるかもしれませんが、一般的な木造住宅はほとんどが「強度型」です。木造住宅は、「筋交い」と呼ばれる斜材や、「...
2017.07.27 05:31建物も人も粘り強く構造設計をしていると、「脆性的(ぜいせいてき)」という言葉を耳にします。あまり聞きなれない言葉ですが、脆い(もろい)という意味です。構造設計では、建物が脆性的な壊れ方をせず粘り強く地震に耐えられるような設計をします。「建物が脆性的だとどうしてダメなの?」「地震に粘り強く耐える?」そんな人のために、ある例で解説しましょう。力自慢のAさんとBさんとCさんがいます。Bさんは軽量級で2tの重さまで支えられます。AさんとCさんは重量級なので4tまで支えられます。
2017.07.27 05:25柔能く剛を制す!?「地震に対して、建物は固い方が良いのか、柔らかい方が良いのか」日本の構造設計が暁を迎える頃、そんな議論が行われていました。時代背景は、関東大震災(1923年、大正12年)から昭和初期にかけていよいよ鉄筋コンクリートの建物が建ちはじめた頃でした。まずこの話をする際に紹介しなければならない人物が二人います。一人目は、佐野 利器(さの としかた、1880年-1956年)東京帝国大学教授、帝都復興院理事、東京市建築局長等「家屋耐震構造論」(1915年(大正4年))で工学博士号を取得。この論文は日本の建築構造学の基礎を築いたものと評され建築構造の耐震理論構築としては当時世界初の試みでした。二人目は、真島 健三郎(ましま けんざぶろう、1873年-1941年)日本...