2017.07.28 06:42もし自宅が災害でダメージを受けたら「住宅資産価値」はどう変わるか?住宅の購入を考えるとき、どうしても無視できないのが災害リスク。もし大地震が起きて自宅が災害でダメージを受けた場合、住宅資産価値はどうなるの……、と疑問に思う方も多いと思います。今回はそんな住宅資産価値と災害について解説します。住宅資産価値の基本住宅資産価値とは、家の市場価格のこと。つまり「その家を中古住宅として売却しようとしたらいくらか」の目安になるものです。住宅資産価値が高ければ高いほど、家を売却するときに助かります。それでは、そもそも住宅資産価値とは何によって決まるのでしょうか。「一戸建て住宅」と「マンション」に分けて解説します。一戸建て住宅の場合一戸建て住宅の価格は分かりやすく、単純に「土地の価格」と「建物の価格」の合計でほぼ決まります。仮に「3...
2017.07.27 05:31建物も人も粘り強く構造設計をしていると、「脆性的(ぜいせいてき)」という言葉を耳にします。あまり聞きなれない言葉ですが、脆い(もろい)という意味です。構造設計では、建物が脆性的な壊れ方をせず粘り強く地震に耐えられるような設計をします。「建物が脆性的だとどうしてダメなの?」「地震に粘り強く耐える?」そんな人のために、ある例で解説しましょう。力自慢のAさんとBさんとCさんがいます。Bさんは軽量級で2tの重さまで支えられます。AさんとCさんは重量級なので4tまで支えられます。
2017.07.27 05:25柔能く剛を制す!?「地震に対して、建物は固い方が良いのか、柔らかい方が良いのか」日本の構造設計が暁を迎える頃、そんな議論が行われていました。時代背景は、関東大震災(1923年、大正12年)から昭和初期にかけていよいよ鉄筋コンクリートの建物が建ちはじめた頃でした。まずこの話をする際に紹介しなければならない人物が二人います。一人目は、佐野 利器(さの としかた、1880年-1956年)東京帝国大学教授、帝都復興院理事、東京市建築局長等「家屋耐震構造論」(1915年(大正4年))で工学博士号を取得。この論文は日本の建築構造学の基礎を築いたものと評され建築構造の耐震理論構築としては当時世界初の試みでした。二人目は、真島 健三郎(ましま けんざぶろう、1873年-1941年)日本...
2017.07.27 05:12地盤改良(柱状改良)木造の戸建住宅の場合は、ベタ基礎が採用されることが多いかと思われます。その際に、地盤が建物を支える力(地耐力,支持力)が不足する場合には、地盤改良を行います。地盤改良の一つとして、その土地の土とセメントなどを混ぜて、地盤のなかに円柱状の改良体をつくり支持力を増やす工法があります。この改良体の支持力(↑)は、先端支持力と周面摩擦力の合計となります。
2017.07.27 05:10木造の構造計画(耐力壁編)構造設計のご相談をいただいた際に、構造上の気になる点があればお伝えしています。一般的な木造在来軸組のプランについては簡易な壁量チェックを行い現状のプランで通常の許容応力度設計が可能な壁量が確保されているか確認しています。木造物件のお見積時に意匠事務所様にプランの調整をお願いすることが多い項目をご紹介します。今回は耐力壁に関することです。○壁量不足建物全体的に、筋かいや面材を設置できる壁が足りないことがあります。許容応力度計算を行った場合、施行令46条の壁量計算で算出する壁量の概ね1.5倍程度の耐力壁が必要になると言われています。『規基準の数値は「何でなの」を探る 第2巻』(建築技術)のQ.242によると、壁量計算の前提としている建物重量は「実際の値より...
2017.07.27 05:07建物規模と設計ルート今回は、建物規模と設計ルートについてです。設計ルートとは、構造計算を行う際の道程です。まずは、建物規模と採用できる設計ルートの区分になります。○ルート1強度型:建物を変形しにくくして、地震に対して耐える ≒ 満員電車の中で踏ん張るイメージ木造建物高さ≦13m,軒の高さ≦9mS造建物高さ≦13m,軒の高さ≦9m,+柱スパン≦6m,階数≦3,延べ面積≦500㎡ → ルート1ー1+柱スパン≦12m,階数≦2,面積≦500㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2+柱スパン≦12m,階数≦1,面積≦3000㎡,平面的バランスが良い(偏心率≦0.15) → ルート1ー2RC造(*1)建物高さ≦20m,規定量の耐震壁(*2)がある○ルート2S造...
2017.07.26 08:30耐震改修とは②前回は、耐震改修のうち「強度型」のお話をしました。今回は、「靭性型」と「その他」のお話です。②「靭性型」(靭性抵抗型補強)粘り強い性質を持った鉄筋や鉄板などを用い、しなやかさを向上させる補強方法です。例)鉄筋コンクリートの柱に薄い鉄板を巻き、隙間にコンクリートを流し込む方法があります。また、同じように鉄骨の柱・梁の側面に鉄板を溶接して、厚みを厚くする方法があります。
2017.07.26 08:26耐震改修とは①耐震診断の結果より、耐震性能が不足する建物は何らかの補強を行い、性能を向上させる必要があります。この補強工事等を耐震改修と言います。では、耐震改修にはどのような工事があるのかをご説明しますが、その前に「建物はどうやって地震に耐えるのか」をおさらいしておきます。すでにお読みになった方はもうお分かりかと思います。まだの方は、先にお読みになって下さい。耐震性とは大きく分けて「強度型」と「靭性型」の2種類があるとお話しました。
2017.07.26 08:16そして耐震診断へ③前回は、構造種別(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)毎の指標に突っ込み入れたところで、新しい言葉「第○次診断」が出てきました。今回は、建物の診断方法をご説明します。建物の診断方法には、グレードに応じてメニューが用意されています。体の健康状態が気になった時も「ちょっと心配だから看てもらおうか」というものから、「あなたは重病の恐れがありますので、精密検査を受けてください」というものまで、幅広く診断項目がありますね。それと同じです。診断のグレードを上げると、調査すべき項目も当然増えてきます。そうなると、費用も同様にかさみます。ですが、その分、より一層詳しい診断ができるのです。過剰な検査や調査は必要ないと思いますが、少しでも重病の可能性がある場合は、グレードを...
2017.07.26 08:14そして耐震診断へ②前回は、建物の安全性を指標という数値で判定することをお話しました。今回は、どのくらいの数値であれば「安全」と言えるの?をお話します。広く共有されているのが、一般財団法人 日本建築防災協会が示す指標です。それでは、順番に見ていきましょう。木造(上部構造評点)1.5以上 …倒壊しない。1.0以上~1.5未満…一応倒壊しない。0.7以上~1.0未満…倒壊する可能性がある。0.7未満 …倒壊する可能性が高い。鉄骨造(Is値、q値)Is≧0.6かつq≧1.0 …倒壊、崩壊の危険性が低いその他 …倒壊、崩壊の危険性があるIs<0.3またはq<0.5 …倒壊、崩壊の危険性が高い鉄筋コンクリート造(Is値)Is≧Iso ...
2017.07.26 08:13そして耐震診断へ①「耐震診断」という言葉、いろいろなサイトでも目にすることがあると思います。「診断」という言葉通り、建物の健康状態を判定することを指します。建物の診断に取り掛かる前に、調査を行う必要があります。「まずは建物調査から」でも、ご紹介しましたが、一口に調査と言っても目的によって、調査内容は変わってきます。建物の耐震性を知りたいわけですから、建物の血管(設備配管)や皮膚(外壁)だけではなく、骨格(構造体)を調べなければいけません。(詳しくは「まずは建物調査から」)調査が終わって、必要な情報が揃うと、いよいよ耐震診断を行います。ここからは少し専門領域に入りますが、眠たくならないよう、かいつまんでご紹介したいと思います。耐震診断の特徴は、調査で得られた情報を基に、そ...
2017.07.26 08:12まずは建物調査から「建物調査」という言葉は、一般の方にはあまり知られていないサービスかと思います。ここでは、どのような調査を行うのかをご説明します。人もモノも、時間の経過とともに生まれた当初の状態から変化していきます。建物は、工事中に変更が行われて図面通りに建物が工事されていなかったり、完成後でも増改築や修繕が行われることで、図面と異なることがあります。また、柱や梁といった部材の劣化や損傷も見られるのです。建物の現在の状態を把握するためには、実際に調査を行い、現況を正しく評価する必要があるのです。と、少し専門的なお話になってしまいましたので、イメージしやすい例えでご説明します。①「建物調査」と「耐震診断」みなさんの中で、健康診断を受診されたご経験がある方は、思い出してみ...