耐震改修とは②

前回は、耐震改修のうち「強度型」のお話をしました。

今回は、「靭性型」と「その他」のお話です。

②「靭性型」(靭性抵抗型補強)

粘り強い性質を持った鉄筋や鉄板などを用い、しなやかさを向上させる補強方法です。

例)鉄筋コンクリートの柱に薄い鉄板を巻き、隙間にコンクリートを流し込む方法があります。

また、同じように鉄骨の柱・梁の側面に鉄板を溶接して、厚みを厚くする方法があります。

串団子で言うと、強くてしなやかな串の周りを薄い鉄で巻いて、少し太くする工事ですね。

➂「その他」

直接的には強度や靭性を向上させませんが、壊れやすい部材を壊れにくくしたり、

地震の力を小さくするための補強方法です。

例)鉄筋コンクリート造の建物で、腰高さの窓が柱際にあると、柱はそのしなやかさを発揮できずに壊れることがあります。

これは、窓の上下にある壁(垂れ壁と腰壁)が、しなやかに動こうとする柱を邪魔するためです。

そこで、柱際の壁に柱が動ける隙間(スリット)をつくってあげる方法があります。

例)古い木造住宅では、屋根に瓦を載せていたり、外壁を塗り壁にしている建物が多いかと思います。

この重たい瓦や外壁をセメント板(カラーベストやサイディング)などの軽い材料にリフォームしてあげることも立派な耐震補強なのです。

串団子で言うと、串はそのままで団子を小さくすることで、揺れを小さくしてあげる工事ですね。

耐震改修の現場では、長所を伸ばしたり、短所を補ったり、または、長所を伸ばしつつ短所を補ったり、妨げとなるモノを取り除いたり、いろいろと手を施します。

まるで、子育てのようですね。

同じ材料で建てられた建物でも、それぞれに個性があり、地震への抵抗の方法も全て同じというわけではありません。

その個性を理解(診断)し、長所を伸ばすのか、短所を補うのか、またはその両方なのかと、いろいろと手の掛かる子なのです。

taishin nippon

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-present U’plan- 耐震や構造の情報を広く発信しています。

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