前回は、構造種別(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)毎の指標に
突っ込み入れたところで、新しい言葉「第○次診断」が出てきました。
今回は、建物の診断方法をご説明します。
建物の診断方法には、グレードに応じてメニューが用意されています。
体の健康状態が気になった時も「ちょっと心配だから看てもらおうか」というものから、
「あなたは重病の恐れがありますので、精密検査を受けてください」というものまで、幅広く診断項目がありますね。それと同じです。
診断のグレードを上げると、調査すべき項目も当然増えてきます。
そうなると、費用も同様にかさみます。
ですが、その分、より一層詳しい診断ができるのです。
過剰な検査や調査は必要ないと思いますが、少しでも重病の可能性がある場合は、
グレードを上げて診断することをお勧めします。
それでは、構造種別ごとに簡単にどのような診断メニューがあるかご紹介しておきます。
①木造
「誰でもできる我が家の耐震診断」
文字通り誰でもできるように、先述の日本建築防災協会が編集した簡易診断です。
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/wagayare/taisin_flash.html
以下、防災協会のHPから引用します。
「住宅の所有者等が、自ら診断することにより、耐震に関する意識の向上・耐震知識の習得ができるように配慮されており、技術者によるより専門的な診断へ繋げられるように作成されています。」
「一般診断法」
調査を行って、耐震診断を行いますが、時に調査には壁をはがしたり、天井をはがしたりする必要があります。
そのような大掛かりな調査をせず、目視や打診、図面上から情報を読み取り、耐震診断をする方法です。
「精密診断法」
一般診断法よりもさらに詳細な調査を行い、診断を行う方法です。
詳細な調査を行うことで、一般診断法では無視していた耐震要素を考慮したりと、より厳密に診断を行うことが可能です。
②鉄骨造
「一般診断法」
木造と異なり、鉄骨造の場合は、診断方法に関わらず詳細な調査を必要とします。
高層ビルや特殊な形状の建物(ドーム等)以外はこの診断法で診断します。
「精密診断法」
一般診断法で、「倒壊、崩壊の危険性が高い」と判断された場合や高層ビル等、一般診断法で診断できない建物を診断します。
すごく難しい計算を行います。
③鉄筋コンクリート造
「第1次診断」
特に大がかりな調査を必要としない診断方法です。診断に必要な図面があれば、診断を行うことが可能です。
ですが、診断方法の性質上、1次診断で耐震性に「疑問あり」と判断された場合は、2次診断、3次診断が必要となる可能性が非常に高いです。
調査項目が少ないため、耐震要素として、目に見える壁と柱しか考慮していません。
「2次診断」
大がかりな調査を必要とする診断方法です。
1次診断よりも詳細な診断を行うため、1次診断では、検討できない補強方法などを採用して検討することが可能です。
耐震要素としては壁と柱しか考慮しませんが、さらに詳細な計算を加えて、より精密な診断を行います。
「第3次診断」
2次診断よりも詳細な計算を行います。
「詳細な計算」とは簡単に言うと、建物の耐震要素を総動員して、さらにそれぞれの耐震要素がどのように結びついているかも考慮して、検討します。
ただ、気を付けなければいけないのは、建物の形状や構成によって、2次診断よりも悪い結果となる可能性があるという事です。
と、このように、建物の種別が多種多様にある事を受けて、診断の方法についても多種多様に存在しています。
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