耐震住宅でも安心できない?建物以外も考えたい地震・災害対策

住宅の購入時には、広さや立地など考えておきたいことがたくさんあります。なかでも、地震のリスクを考えて「耐震住宅」を検討している方は多いのではないでしょうか。今回はそんな「耐震住宅」について解説します。


耐震住宅とは?

耐震住宅とは、地震に強い家のことを意味します。耐震住宅と似たような言葉に「制震住宅」「免震住宅」というものもあるのですが、これらはどう違うのでしょうか。


地震に強い家は3種類ある

広義での耐震住宅には、「制震住宅」も「免震住宅」も含まれます。一方、狭義での耐震住宅は、「制震住宅」、「免震住宅」とは別扱いとなるのでご紹介しましょう。


・耐震住宅

耐震住宅は、「地震に耐えられる基準を満たした家」のことです。1981年以降、新しく建てる場合には新耐震基準を満たしておかなければなりません。つまり、基準に乗っ取り建てられた建物であれば基本的に耐震住宅になるということです。この基準についてはたびたび更新されており、今と昔の基準は異なることも覚えておきましょう。


・制震住宅

制震住宅は、「地震の揺れを軽減する構造をしている家」のことをさします。耐震住宅は単に倒れない構造であるのに対し、制震住宅では揺れ自体が弱くなるということがポイント。大きな揺れは、建物にダメージを与えたり、家具を倒したりします。しかし、制震住宅ではこのようなリスクが低いのです。そのため、耐震住宅と制震住宅では被害状況が異なります。


・免震住宅

免震住宅は、「地震の揺れをほとんど軽減する構造をしている家」のこと。地面と建物との間に「免震装置」とよばれるものを設置し、地震の揺れをほとんど伝えない構造になっています。制震住宅より高いレベルで揺れを軽減することがポイントです。構造や軽減レベルが制震住宅とは異なるため、分けて表現されています。


耐震等級

耐震レベルを図る指標として、耐震等級というものも存在するのでご紹介しましょう。耐震等級はレベルごとに分かれており、建築基準法の耐震性能を満たす水準のものを「等級1」、1で想定される地震の1.25倍の揺れにも耐えられる水準を「等級2」、同じく1の1.5倍のものを「等級3」としています。等級が高いほど耐震性能が高いと認められますから、参考にするとよいでしょう。


耐震住宅でも安心はできない

耐震レベルの高い住宅だと安心できるでしょう。しかし、いくら地震に強い家でも油断は禁物です。次は、地震で考えられる倒壊以外のリスクについて解説します。


住宅は倒れなくても家具が倒れる可能性

耐震住宅では、確かに地震による倒壊リスクは低いといえるでしょう。ただ制震住宅や免震住宅ではない場合、住宅の中にある家具や家電などが倒れる危険性は残ります。場合によっては、倒れてきた家具でけがをする可能性もあるでしょう。また、古い石油ストーブは倒れることにより火事の原因となります。


二次災害のおそれ

家具転倒によるけがや火災などは、地震の「二次災害」ともよばれます。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、大きな二次災害が起きたことでも有名です。約7千棟もの住宅が火災により焼失し、多くの犠牲者が出てしまいました。


注意しておきたい地震火災

次は、二次災害の代表ともいえる地震火災についてご紹介しましょう。


暖房器具の転倒による火災

こちらは、寒さが厳しくなる冬に多く発生する火災の原因です。特に直火で温めるタイプの石油ストーブは、転倒するといかに危険かを容易に想像できると思います。最近では揺れを感知して自動的に電源が切れる商品もありますので、不安な方は買い替えるのもひとつの方法です。


電力復旧に伴い発生する「通電火災」

「通電火災」という言葉をきいたことがあるでしょうか。通電火災は、阪神・淡路大震災の火災原因の6割を占めるといわれています。通電火災とは、地震によりいったん停電した後、電力が復旧する際に発生する火災のことです。例えば、地震発生とともに倒れた暖房器具が停電により電源は切れていたものの、通電後に電源が入り、火災が発生したというようなケース。通電火災を防止するためにも、避難する際に家のブレーカーを落としておくといった対策が必要でしょう。


耐震とあわせて地震や災害対策を

このように、地震で気をつけないといけないことは建物以外にも数多く存在します。技術の進歩により、安全性の高い商品が増えてきているものの、使う側の状況はそれぞれ異なります。安全に絶対はありませんので、災害対策はできる限り多めに行った方が良いでしょう。二次災害は何が起きるかわかりませんから、いろいろな可能性を考えて対策をすることで被害を抑えることができるでしょう。


参考:

・耐震住宅は今後増えていくの?|スルガ建設

・「耐震等級」1・2・3でどう違う?耐震の基礎知識!|セイズ

・耐震住宅・制震住宅・免震住宅のメリットとデメリット3|ハウスネットギャラリー 注文住宅

・防災対策1 わが家の耐震|百年住宅

・恐怖の二次災害「地震火災」とは?原因と対策もご紹介|火災保険レスキュー

taishin nippon

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