新しい住み方スタイルになりつつあるシェアハウスの魅力

近年、若者層を中心に「シェアハウス」人気が高まっています。「住みたい街」に低家賃で住めるうえ、シェアハウス独特のさまざまなメリットが要因といわれています。シェアハウスには一体どんな魅力があるのでしょうか。


シェアハウスとは?

シェアハウスとは、共有スペースがある賃貸住宅のことをさします。「共同住宅」ならではの「共有」と「交流」を楽しめる「新しい住み方のスタイル」といわれています。

通常の賃貸住宅と比べ、初期費用と家賃が安いため、家賃相場が高い都心や「住みたい街」ランキング上位のエリアでも、リーズナブルな家賃で入居できるのが魅力のようです。

共有スペースは入居者同士が交流できるラウンジ、共同キッチン・浴室・トイレなどの設備で構成されているのが一般的です。さしずめ昔の下宿や学生寮の現代版といったところでしょう。

また、シェアハウスには家具、寝具、エアコン、インターネット環境など生活必需品がそろっている物件が多くあります。旅行鞄ひとつで入居し、その日からすぐ暮らせる手軽さも、一般の賃貸住宅にはないメリットでしょう。


シェアハウスのタイプ

一口にシェアハウスといっても、ライフスタイルに合わせたさまざまなタイプの部屋があるのも、一般の賃貸住宅にはない特徴です。主に次のようなタイプがあります。


・シングルルーム型

一人用の個室。冷蔵庫、エアコン、ベッド、デスク、ロッカーなどが完備。プライベートな空間を確保したい入居者向けです。


・セミプライベートルーム型

シングルルームよりやや広めの部屋を、簡易間仕切りで一人用の個室風にしつらえた部屋。プライベートを確保しつつ、個室より家賃が安いのが特徴です。


・シェアルーム型

1室を2人で利用する相部屋タイプの部屋。デスクやロッカーは各人専用のものが用意されています。


・ドミトリー型

1室を4~10人で利用する大部屋タイプの部屋。二段ベッド設置が大半といえます。


・アパートメント型

個人専用のキッチン、トイレ、浴室などを設備したワンルームタイプの個室。


シェアハウスはルームシェアと混同されがちですが、明確な違いがあります。

ルームシェアは、兄弟、友人、職場の同僚など知己の者同士が家主から部屋を一緒に賃貸して共同生活をする居住形態をさします。対してシェアハウスは、未知の者同士が戸建て賃貸住宅で共同生活をする居住形態です。


江戸時代の長屋とシェアハウスの意外な共通点

シェアハウスの人気上昇は、「シェアリングサービス」の普及が背景とみられています。

近年、モノやサービスの共同利用のニーズが顕在化してきました。カーシェアリング、ライドシェア(乗用車の相乗り)、シェアオフィス、民泊、SNSなどの普及はその表れでしょう。シェアハウスはこのシェアリングサービスの一環として需要が急増しているとみられています。

情報通信総合研究所が2017年6月に発表した「シェアリングサービスの市場規模」の結果は以下の通りです。


・2016年の市場規模推定1兆1,800億円

・潜在市場規模は約 2 兆 6,300 億円と推測


つまり、シェアリングサービスはすでに単独の市場分野を形成しています。したがって、シェアハウスも今やブームではなく、住宅文化の一分野であるといえるでしょう。


では、シェアハウスはなぜ短期間で住宅文化の一分野として定着したのでしょうか。その背景を探ると、江戸時代の長屋文化との共通性がみられます。長屋では複数の世帯が井戸やトイレを共同利用して暮らしていました。長屋の敷地内では濃密なコミュニティが形成され、入居者たちは互いに支え合って身近な困りごとを解決していました。米、みそ、しょう油、薪炭など生活必需品の貸し借りは当たり前。子どもが生まれると、長屋の住民みんなで世話を焼き、育児をしていました。

この長屋の支え合い文化が現代によみがえったのがシェアハウスとみられています。


とはいえ、シェアハウスのすべてが素晴らしいわけではなく、そこにはおのずと次のようなメリットとデメリットがあります。


メリット

・家賃が安い……都心でも一人暮らしと比べると、安い生活費で暮らせる。よって趣味、習い事、レジャーなどにあてる金額を増やせる。

・居住空間が広い……共有スペースのラウンジがあるので、ワンルーム・1Kマンションに比べ、居住空間を広く感じ、窮屈な思いをしない。

・困った時に助け合える……風邪をひいて寝込んだ時は誰かが食べ物を差し入れてくれる。生活必需品を切らしている時は必要なものを誰かが貸してくれる。

・孤独感がない……ラウンジでお茶やアルコールを片手に談笑できる。誕生日はみんながパーティーで祝ってくれる。


デメリット

・気の合わない人と暮らす可能性がある……未知の不特定の人と同じ屋根の下で暮らすので、気の合わない人と暮らさなければならないこともある。

・パジャマ姿で一日中過ごせない……一人暮らしならパジャマ姿で一日中過ごせるが、シェアハウスでは自室を出る時はそれなりの服装をしなければならない。



シェアハウスの選び方と入居者ができる地震・災害対策

シェアハウスを選ぶ際は立地や家賃も重要ですが、「快適な暮らしができるのか」という視点も重要です。そこで、シェアハウス選びにおいては、次のチェックも欠かせません。


・生活に必要な共用設備の数はそろっているか?

シェアハウスでは生活設備の多くを共同利用します。このため、浴室、洗面台、コンロ、炊飯器、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機などが用意されているかを確認しましょう。また、これらが入居人数に対して十分な容量・数かのチェックも重要です。

例えば、キッチンが狭いとコンロ、炊飯器、電子レンジなどを1つずつしか設置できないので、朝・晩の調理時間帯は順番待ちになります。


・共用費設定は妥当か?

シェアハウスの中には、共用設備の水道光熱費を均等割方式で別途請求する物件もあります。

このような物件では、例えば仕事が忙しくて帰宅は深夜、共用設備の利用頻度が低いという入居者の場合は不利になります。不公平感も高まるでしょう。


共用費と自分の予想利用頻度を勘案し、共用費設定が妥当か否かのチェックも重要です。


シェアハウスでの地震・災害対策とは

シェアハウスの中には、空き家になっていた築古住宅や古民家を改装した物件も多く見受けられます。このような物件に入居した際は、地震・災害対策に注意する必要があるでしょう。


シェアハウスは賃貸住宅なので、耐震補強等の建物改修を伴う対策はできません。しかし、入居者の責任範囲でできる対策もあります。それは次のような対策です。


・デスク、ロッカー、テレビ、パソコンなどに滑り止めをつける

・就寝する時はスリッパ、懐中電灯などを枕元へ置いておく……ガラス片の散乱や停電への備え

・共有スペースにランタンを常備しておく……地震や台風で停電が長引く場合は共有スペースに集まり、みんなでラジオ放送を聞きながら状況判断をするのがベスト。この時、懐中電灯より四方を照らすランタンの方が便利です。

・共有スペースの消火器設置場所を把握しておく……地震や台風発生で怖いのが火災。火災が発生したら即座に消火できるよう消火器設置場所を把握しておけば安心です。また、自室に小型消火器を常備しておくのもおすすめです。


このような対策ならすぐに行えます。また、費用もそれほどかからないでしょう。


近年は入居者層も拡大

新しい住み方スタイルとして、賃貸住宅市場に定着しつつあるシェアハウス。

従来の入居者は若者層が中心でした。しかし、近年は晩婚化影響もあってか30・40代の「働き盛り独身者層」の入居も増加しています。また、ファミリー専用やシングルマザー専用の物件も人気を集めており、入居者層も多様化し、広がりつつあるようです。

自分の年齢にとらわれず、賃貸住宅の選択肢としてシェアハウスも検討すると良いかもしれません。


参考:

・シェアハウスとは|オークハウス

・シェアリングサービスの市場規模|情報通信総合研究所

・江戸時代の長屋と現代のシェアハウスに見る、暮らしの共通点とは?|茶堂

・シェアハウスって実際どうなの?|SINGLE HACK

・2030年の住スタイル考~シェアハウス|All About

・シェア住居の選び方|ひつじ不動産

・災害に備えあるあるシェアハウス|シェアシェア

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