2017.07.26 08:06昭和56年以前の建物は要注意!!②前回は、「数十年に1回以上」遭遇すると思われる【中地震】と「数百年に1回以上」遭遇するかも知れない【大地震】の2段階(1次設計、2次設計)で建物の安全性を確認する「構造計算」のお話をしました。今回は、2階建て木造住宅などの耐震性の確認のお話をします。2階建て木造住宅などの耐震性の確認は「壁量計算」と呼ばれます。床面積に応じて一定以上の筋かい等の耐力壁を設けるように決められた規定に沿った検討です。1981年(昭和56年)以降は、必要壁量や耐力壁の壁倍率が大幅に見直されました。その後、兵庫県南部沖地震(1995年)に被害の大きかった木造住宅には「偏心率(バランス)が悪い」、「施工時の品質の管理がされてない」、「腐朽・蟻害がある」といった特徴が著しかったこと...
2017.07.26 08:03知られざる耐震の歴史今回は、堅いお話です。学生時代に歴史が苦手だった方も、お付き合いください。歴史は未来を考える材料になります。現在、私たちは当たり前のように、法律に従って建物を建てていますが、今に至るまでにどのような経緯があったのかを知ることで、将来の変化への対応を考えたいと思います。日本の耐震設計の歴史は1891年の濃尾地震から始まりました。当時は、S・RCの建物が少なく、木造・レンガ造の建物が主流であり、耐震設計が考慮されていないこれらの建物は被害が甚大でした。この反省から、耐震設計という考えが生まれます。また、明治政府という統一的な行政が、日本に生まれていたことも建物への意識を向ける余裕を生み出していたと思います。その後、大きな地震に見舞われる度に耐震設計法が見直...
2017.07.26 07:36建物はどのようにして地震に耐えるのか①建物が地震に耐える方法は、大きく分けて二つあります。その抵抗の仕方から「強度型」と「靭性型」と言われています。その前に、「地震が起こると建物がどのようになるのか?」をご説明します。すごく簡単なことですが、地震が発生するとまず、地面が揺れ、その揺れ=振動が建物に伝わり、建物が揺さぶられます。揺れ方は建物の形状によります。高層ビル等の細長い建物は、大きく、ゆったりと揺れ、戸建て住宅等の背の低い建物は、小さく小刻みに揺れます。建築設計の分野では、揺れ方を理解するために、建物を簡単な形に置き換えて考えます。このような作業を「モデル化」と言いますが、ここでは「串」と「団子」を使って、説明します。建物を一本の「串」と見なします。建物には、床や屋根があり、床には家具...
2017.07.14 03:41昭和56年以前の建物は要注意!!①「知られざる耐震の歴史」から、我々の先輩方が約90年の間に地震罹災→法律改正を何度も繰り返しながら、耐震基準と耐震技術を向上させてきたことが分かったかと思います。その中でも、1948年の福井地震の2年後に制定された『建築基準法』(1950年)が現在も施行されています。ちなみに、「しこう」と読みます。その後、1978年の宮城沖地震の3年後にその『建築基準法』(1981年6月)が改正されています。1950年の制定から1981年6月の改正までの間、想定していた地震は【中地震(震度5強)】までで、経験則から【震度6以上の大地震】でも『安全であろう』と想定されてきました。しかし、宮城沖地震を罹災したことで、「数十年に1回以上」遭遇すると思われる【中地震】と「数百...