2017.08.30 04:27日常に潜む『構造』-しゃぼん玉を本気で考えてみた-みなさんは、子供のころしゃぼん玉で遊んだことはありますか。ふわふわと浮かぶしゃぼん玉はとてもきれいです。ただ、『構造』を学んだあと、しゃぼん玉を見るとかなり衝撃がありました。
2017.08.30 04:24フィレンツェ大聖堂③ 前回は、1296年の着工から、100年超の時を経て、聖堂建設のクライマックスである、ドーム部分の工事が開始されるまでの流れをご紹介しました。今回は、ドーム工事に参加した職人たちの動線と働き方について、ドーム外殻の2重シェル構造をからめて、補足説明したいと思います。 フィレンツェ大聖堂の象徴であるドームの外殻は、2重のシェルからなっています。2重シェルの役割については、ドーム総重量の軽減のためといわれていますが、実際のところ、ドーム架構の強度としては、頑丈な8本の補強リブと分厚い内側のシェルだけでも十分なはずで、薄い外側のシェルは構造的にはさほど貢献していないと考えられます。 2重シェルの隙間を利用して、ドーム頂部までらせん状に階段が設けられています。...
2017.08.28 03:40建物の倒壊を防ぐ!!「昭和56年以前の建物は要注意!!①②」をまとめると、1981年(昭和56年)以降は一次設計:「数十年(50年)に1回以上」遭遇すると思われる【中地震】二次設計:「数百年(500年)に1回以上」遭遇するかも知れない【大地震】地震に対して、一次設計では建物の損傷を防ぐことを目的とし、二次設計では倒壊を防ぎ人命を守ることを目的として耐震設計を行うことになりました。「500年に1回以上」遭遇するかも知れないと言われると、そんなに長生きしないから遭遇することはないように感じるかも知れません。これは再現期間で表現されているためです。表現を変えると、「50年で10%以上の確率」で遭遇するとも言えます。いかがですか、遭遇する可能性がずっと大きく感じませんか。実際、こ...
2017.08.25 06:33フィレンツェ大聖堂②前回は、フィレンツェ大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会について、その内陣上部の巨大なドーム構造が、当時の建築技術で施工上、いかに困難なものであったかについてお伝えしました。このドーム工事にまつわる諸問題を解決し、大聖堂の設計者として広く知られることになる、フィリッポ・ブルネレスキが登場するのはさらに半世紀を待つことになります。工事は戦争などのため、何度かの中断をはさみつつ、14世紀末までには、身廊部分のヴォールト架構が完成し、続いて、八角形の内陣部分の工事が開始され、1412年には、新しい聖堂の名称を「サンタ・マリア・デル・フィオーレ」とすることが決定されました。この頃にはドームをのせるための壁体がほぼ立ち上がりつつあり、1417年には、内陣...
2017.08.25 06:29表面波探査による地盤調査レポートこんにちは、てんです。建物の設計をするときに、地盤の固さや性質などを調べる「地盤調査」を行う必要があります。地盤調査には、簡易なものから大がかりなものまでありますが、比較的簡易な調査方法のひとつである「表面波探査」を見学する機会があったのでご紹介します。 今回ご紹介するのは、「表面波探査」という調査方法のうち、「定常振動法」についてです。名前だけ聞けばすごく難しそうな印象ですが、やっていることは案外シンプルです。まず調査敷地に起振器を設置します。
2017.08.25 03:38マグニチュードと震度の違いとは?③前2回では、地震の発生メカニズムをお話しました。今回は、本題「マグニチュードと震度」の違いをご説明します。地震の起こり方でお話ししたように、地震はプレートの境界や、プレート内のいたるところで起こります。マグニチュードは、その地震が起こった場所における地震のエネルギーを表しています。地震の規模そのものです。ですので、1つの地震につき1つのマグニチュードしかありません。対して、震度は地表面における揺れの大きさを示しています。観測値です。観測値ですので場所によって異なります。極端な言い方をすれば、北海道で起きた地震では北海道で震度が7としても沖縄ではほぼゼロです。1つの地震につき、複数の震度があります。観測された中で最大の震度を最大震度と言います。地震の発生...
2017.08.24 08:52つい考えてしまう!①-デスクワーク編-こんにちは、ヒロです。構造設計の仕事は一般的に馴染みがなく、少し難しい仕事のようなイメージがあるかと思います。構造設計の仕事についてすぐの頃、建物にかかる力をなかなかイメージできずに苦労しました。そのようなとき、『力を人間や物に置き換えて考えればよい』とアドバイスをもらい、日々の生活のちょっとしたことを構造設計に置き換えて考えてみるようにしました。例えば、長時間デスクワークをしていると肩と腰が痛くなります。なぜ痛くなるかを構造設計風に考えてみると…■猫背の場合
2017.08.24 08:47つい見てしまう!-つい見てしまう建物編-こんにちは、ヒロです。建築物は外壁や屋根の仕上げにより構造部材が覆われていることが一般的ですので、露出した構造部材の細かな納まりを間近で見る機会はなかなかありせん。今回の『つい○○…』は、構造部材が見られる身近な建物をご紹介します。■駅のホームの上屋(うわや)
2017.08.24 08:45つい気になってしまう!①-つい反応してしまう用語編-こんにちは、ヒロです。構造設計業務の中で使用している単語の中には、日常生活の中でも使われているものがたくさんあります。つい気になってしまったり、つい置き換えて考えてしまったり、と『つい○○…』をシリーズ化してご紹介していきます。まずは身近な言葉から触れてみましょう!日常■ボーリング
2017.08.24 07:21震災後に残った住宅ローンはどうなる?地震保険より頼りになる「被災ローン減免制度」とはこれからマイホームの購入予定がある人にとって、住宅ローンは日々の生活を助けてくれる便利な存在です。ただ、住宅ローンを長く組むとなれば、それだけ毎月の返済と向き合う回数も増えていくもの。そうしたとき、地震や災害などでマイホームが損傷して補修費用がかさむと、毎月の返済額の負担も大きくなります。そこで今回は、被災時に役立つ、住宅ローン返済の対策方法をご紹介します。地震保険だけでは「住宅ローンの返済までカバーできない」のが現状災害時といった万一のとき頼りになるのが地震保険です。ところが、地震保険には制約もあり、住宅ローンの返済に直接関係することはありません。建物および家財の保険金額地震保険とは、主に地震やそれに起因する津波、火災による損壊で被った損害が補償され...
2017.08.23 07:28フィレンツェ大聖堂①著作者:Miguel Jiménezオレンジ色のドーム屋根が印象的な「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」は、通称「ドゥオーモ」と呼ばれ、全長153メートル、幅90メートル、高さ107メートル、ドーム部分の内径43メートルと、聖堂としては世界で4番目に大きい建物として、古都フィレンツェのシンボルとなっています。教会内陣上部のドームは、石積み建築としては世界最大で、晩期ゴシック~初期ルネサンス建築の代表作として知られています。今回は、この世界最大の組石造によるドーム建築を実現した、その工法と、発案者である、フィリッポ・ブルネレスキについて取り上げたいと思います。 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の建設は、1296年、当時フィレンツェの大聖堂であ...
2017.08.18 03:36マグニチュードと震度の違いとは?②前回は、底のふかーーーーーいお風呂の例えで、マントルの対流をお話しました。今回は、プレートによる地震のお話をします。プレートには2種類あり、大陸プレートと海洋プレートと呼ばれています。前回、プレートは折り重なっていると書きましたが、海洋プレートと大陸プレートの継ぎ目では海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込んでいます。また、それぞれのプレートはキレイな板とは限りません。ひび割れていたり、歪んでいたり、波打っていたり、様々な形状をしています。このように、いびつな形の板が折り重なった下で、マントルがゴソゴソと動いています。すると、海洋プレートはマントルに引きづられて、さらに大陸プレートの下に潜り込もうとします。